◆歌姫 28



2022.09.19
カーター邸の厨房では、
「今日はおはぎを作りましょう。」
「おはぎ?」
「ジャパニーズスィーツです。」
「まあ、おいしそう♪」
「まず、小豆を煮ます。」
楽しそうな会話が厨房から聞こえてきた。
つくしとカーター夫人だ。
二人はとても仲が良く、
つくしが邸にいるときはいつも一緒に何かしら楽しんでいる。
今日は二人でクッキング。
ここへ来てからつくしはたまに日本料理を振る舞う、
日本料理はヘルシーでカーター夫妻にもとても好評だった。
類はカーター邸に到着した。
部屋に入ると、ドアの向こうからつくしの声が聞こえてきた。
二人の楽しそうな会話を聞きながら厨房の扉をあけた。
「つくし」
類は心の声を口にした。
つくしは突然の類の登場に大きな目をまん丸に見開き、
会いたくて堪らなかった類を見て、
「類、ずっと待ってたよ。」
と言いながら類に飛びついた。
強力な磁力で引き合うように
二人はピッタリとくっつき、もう離れないというように
強く抱き合いキスをした。
俺はつくしに触れた瞬間、血が流れだし、
心臓がドキドキと弾み、身体が熱くなり、
生き返っていく感覚をおぼえた。
***
二人はつくしの部屋でお互いのことを語り合った。
「島から突然類がいなくなって、あたし毎日類を探し続けたの。
そんなときカーター会長が助けてくれて、
歌手になって活躍すれば、類があたしを見つけてくれる、
類にまた会えると思って頑張ってたんだよ。
いつも類のこと想って歌をうたってた。
『あたしを見て、あたしに気づいて、類、愛してる』って///」
つくしは、はにかみながら類の頬を撫でる。
類はつくしを引き寄せキスをする。
柔らかな唇が重なり合い、手を握り体を引き寄せ
温かいつくしの体温を感じながら、しばらくキスを続ける。
唇が離れるとつくしが目をそっと開き、頬を真っ赤に染め///微笑んでいる。
二次元ではない本物のつくし・・・可愛すぎる///
「あの日父さんに居場所がバレ拉致され、
そのままフランスに連れていかれたんだ。
花沢で働かなければつくしを殺すと脅され、強制的に働いていた。
父親を超える力を付け、つくしを迎えに行こうと思っていた
・・・迎えに来るのが遅くなってごめん。」
つくしを自分の胸にしまい込むように抱きしめた。
もうこれ以上何もいらないと思うほど幸福感。
この手の中につくしがいて、俺に微笑んでくれる、
これが幸せというものなんだ。
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*斜体は英語での会話を示しています。
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